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井上佐一郎。
吉田東洋暗殺事件を捜査している、土佐藩出身のいわゆる警察官だ。
問題は吉田東洋を殺したのが、那須信吾ら土佐勤王党であるということ。
「ばれちまう事だけは、絶対に避けたい」
そしてここからが遼香の問題。
「おめーはどうするよ」
彼女は強い。
なんせ以蔵の太鼓判付き。
足手まといになるはずがない。
むしろ大いに役立つ。
他の者も文句は言わないだろう。
しかし人を殺す殺さないは、自身の判断に任せている。
『仕事』の時も、それは一緒だ。
暗殺を阻止する事だけは決して許しはしないが、自分が手を下す下さないかについては何も口を挟まない。
遼香が躊躇えば、自分がやるだけである。
「今回はやめときます」
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