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「てめえ、また来たわけ?」
田舎の細い道を、少女が走ってきた。
手に握られているのは1本の竹刀。
目指すは、江戸にある市ヶ谷の田舎道場。
そして、腰に竹刀をさして背中に薬を背負った男がその子に声をかけた。
その男の横を歩きながら、彼女は応える。
「うん!近藤先生いると思う?」
「勝っちゃんを先生と呼ぶのは、どうかと思うけどな。」
そう呟いている男の横をだーっと走り抜き、
「たのもーっ!」
まだ見えぬ試衛館道場に向けて、駆けてゆく。
それはもう、遠い遠い昔の話で。
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