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「おい遼(リョウ)、帰るぞ」
橋の上から声がした。
「うーわ、血だらけだよ‥‥」
血と死体の海の真ん中に、1人の少女。
「こういう仕事は勘弁してほしいね」
うん。
そう1人で頷きながら、彼女は死体の1つから刀を抜き、颯爽と坂を上ってく。
「岡田さーん、こんな仕事二度とごめんなんだけど」
「毎回言ってねえか?それ。おめー、こんな仕事でもやらな、俺ら餓死だぜ」
「岡田さんが貧乏なんが悪いんだし」
さらりとひどいことを言いながらも、少女の心は穏やかだ。
恩が、ある。
一生忘れる事の出来ない恩が、ある。
少しでも恩返しをと手伝ってはいるが、嫌なものは嫌なのだ。
「おまえさ、好き嫌いは良くないぜ?」
「何を今さら」
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