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今回の『仕事』も、
もちろん『暗殺』。
『水戸の浪士を殺してくれ。』
ある長州の藩士から頼まれた。
『なぜ?』
『それは、言えない―…』
それでも、以蔵は引き受けた。
『はあ?!うざいから、とかかもしれないんですよ?!』
遼香は止めようとした。
今まで引き受けていたのは、全てそれなりの理由があるものだった。
例えば、親の仇、例えば、政敵、例えば、………。
『それでも、それが俺らの仕事なんだ。』
お金のため、というのもないとは言わないが、こういう事は自分らにしか出来ないと思っている。
『いくら出す?』
『50両、用意した。』
『50両っ?!何でそんなにまた………。』
『8人、殺ってもらいたい。』
『8人!?まじですか?!8人なら80両はいるところですよ。』
勘定は全て、遼香に任せている。
以蔵は、金に疎い。
『や、でも、理由を明かさないとなると、もう10両はいりますね。こっちもやりづらいですから。』
『分かった!100両出そう!それで皆殺しにしてくれるんだろな?』
その男は、よほど8人を消したく思っていたのか、はたまた単なる金持ちだったのか、2人には分かりえなかったが、遼香のぼったくり話に、少々自棄気味だったがのってきた。
遼香はにやっと笑って答えた。
『お任せあれ。』
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