2章

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「『お役目』が入った」 「土佐勤、ですか‥‥」 久々に野宿でなく旅籠に泊まっていた時、以蔵に客が来た。 『お前はあっち行ってろ』 独り蚊帳の外におかれた遼香がぶーぶー言いながらも温泉へ入り、部屋に戻った途端以蔵から告げられた。 「土佐勤ておめー、出目金じゃねーんだから」 「出目金て岡田さん、金魚じゃないんだからさあ」 「あのー‥‥」 雲行きがあやしい。 そこで、2人を見ていた客が大きなため息をついた。 「ていうか岡田さん、この人誰です?人の顔見てため息つくとは、何て失礼な方なんですか」 遼香が不満そうに言うと、今度は以蔵がため息を吐き出す。 「おめーの言う土佐勤の1人だよ。武市の使い。」 .
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