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と、神太郎の頭の中に声が聞こえた。
『愚かな人間よ。何故我が棲みかで血を流す。』
神々しい女の声だ。
奴は軽く笑って答えた。
「誰だか知らねぇが、オレは血を流すのが好きなんだよ。自分のも、相手のも。」
『醜いことだ。今のお前では話にならん。片割れを出せ。』
「片割れ?悪りぃがこの体はオレが……。」
神太郎の頭の中に声がまた増えた。
『片割れを出せと言っているのがわからんのか……!?』
その声に、体が反応した。
「ちっくしょう……。」
髪が一気に漆黒に戻った。
ガクンと、神太郎の体が揺れた。
そして、元の神太郎になった。
「あれ……?オレは…。」
『気がついたか。片割れよ。』
「誰だ?」
『我の名はグラドだ。人間よ、何故我が棲みかに来た?』
『我が棲みか』
そうか、この声の主は…。
漆黒のドラゴンだ。
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