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神太郎はなぜか心が痛んだ。
傷つけられた自分が、傷つける側になった。
自分が殺した奴を背に乗せるなんて思いもしなかった。
もう一人の自分がやったのなら、オレが罪滅ぼしをしよう。
そう思った。
神太郎は洞窟を去った。
『最後に会ったのが、まさか人間だとはな…。』
グラドは尾をその場に落とした。
いや……、あの気は……。
地響きが鳴り、目が重たくなり始めていた。
『神太郎よ…、もう一人のお前は強いが、厄介だ。だが、互いに力を合わせたときには、最高の力となるはずだ。』
グラドの目に、ダイナマイトが見えた。
『もう会えないのは辛いが、さらばだ……。』
最後の力を振り絞り、グラドは火をつけた。
ダイナマイトが爆発した。
そうだ……あの気は奴だ。
通りで懐かしかったわけだ……。
洞窟は崩れ落ち、グラドは洞窟の中に消えていった。
遠くにまで聞こえたこの音は、グラドの吠える声と重なり、後に『グラド・エンド』と呼ばれ、歴史に名が残ることになる。
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