青年サフィア

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最初は幻覚だと思っていた。 友達はもちろん、両親にも言えず、一人で苦しんでいた。 頭に響くだけならまだいい。声と共に激しい頭痛と吐き気に見舞われるのだ。たまったもんじゃない。 だが、その声もだんだん『必要なモノ』となり始めていた。 普段ならチャリで飛ばす坂道。声が聴こえ[シニタクナケレバスピードヲダスナ]と教えてくれた。 すると、サフィアの目の前の原チャリが一時停止を無視した車に跳ねられたのだ。 確信はまだ持てていないが、サフィアは「この声に守られている」と思い始めていた。
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