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海斗:母さん…今日はいつもより帰りが遅いな。
大学に進学しようと考えている息子の海斗(17)は、幼い頃父親と離婚してから母親の幸恵(42)とずっと二人暮らしだった。
幸恵:ただいま。
今日はいつもより疲れている様子だった。
海斗:おかえり、晩御飯用意するよ。
幸恵:いつもすまないね、お前に楽な生活させてやれなくて…。
これは母の口癖である。
海斗:気にするなよ、大学行って良い会社に入って母さんを楽にさせてやるから。
幸恵:ありがとう、すまないが今日は疲れたからもう寝るよ。
そう言うと母は横になり死んだかのように深い眠りについた。
海斗も寝ようとしたが、なぜか今日はいつまでも母親の姿を見ていたいとずっと母親の横に座って本を読んでいた。
海斗はそんな時間がいつもより貴重に思えた。
翌朝、海斗は知らぬ間に寝てしまっていて毛布がかけてあった。
起きると足元に手紙が置いてあった。
『風邪引かないようにね』
たった一言の手紙だが、海斗の目から涙がこぼれ落ちた。
と同時に急に胸騒ぎがおこった。
その時…
プルルルル!
電話がなった。
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