Bianco ~白の章 其の弐~

1/2
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ

Bianco ~白の章 其の弐~

セリカの鍵を 取り玄関で 靴を履いてると お袋が声を掛ける 「出かけるの? お前は"じっと" してないね。」 こんな家に居たくないんだよ。 そう言いたい 気持ちを抑えて 「友達に会って来るよ」 そう言って 玄関から出る。 3年間色んなバイト して約70万貯め 免許を取り 白のセリカを買った。 セリカは俺の宝物。 セリカは俺の パスポートさ。 エンジンを掛ける。 テンロクの2TGは目覚め マフラーからは 野太い排気音を奏でる。 家を出て近くの コンビニに行き 彼女に電話をかけた。 「裕だけど これから迎えに行くよ」 「うん。じゃあ駅で待ってるね」 受話器を置いて 深く息を吸った。 心に引っかかってたのは 彼女の事だった。 MOMO Proto tipoの 小径ステアリングを 握りセリカを 走らせながら 彼女との2年間を 振り返る。 県内でも有数の 進学校に通う 1つ下の17才 小さなライブハウスで まだ売れて なかった頃の BOφWYのLIVEを 観に行った時に 知り合った。 付き合い始めは けっこう悩んだ。 学校のレベルが 全然違った。 小さい頃から 可愛がってくれた 叔父の協力があって 2人きりで 海沿いの街へ 旅行 そして彼女と迎えた 初めての朝 バイトが終わって ミスドで待ってると 彼女が家から 抜け出して 朝まで一緒に 寄り添ってた。 「出来る事なら・・・」 それにはまだ 未熟すぎた。 様々な彼女との 思い出が交差(クロス)する。 駅に着き ポニーテールをした 彼女が駆け寄って来る。 「裕。セリカが来たんだね。」 「すぐ解ったよ。走ってくる音でね」 「うん。」 「ドライブいこ❗」 セリカは走り出す 何処までも 2人だけで 走っていたかった。 Do you remember. あの時の2人 Do you remember. あの時の輝き いつまでも 忘れないで
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!