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Bianco ~白の章 其の弐~
セリカの鍵を
取り玄関で
靴を履いてると
お袋が声を掛ける
「出かけるの?
お前は"じっと"
してないね。」
こんな家に居たくないんだよ。
そう言いたい
気持ちを抑えて
「友達に会って来るよ」
そう言って
玄関から出る。
3年間色んなバイト
して約70万貯め
免許を取り
白のセリカを買った。
セリカは俺の宝物。
セリカは俺の
パスポートさ。
エンジンを掛ける。
テンロクの2TGは目覚め
マフラーからは
野太い排気音を奏でる。
家を出て近くの
コンビニに行き
彼女に電話をかけた。
「裕だけど
これから迎えに行くよ」
「うん。じゃあ駅で待ってるね」
受話器を置いて
深く息を吸った。
心に引っかかってたのは
彼女の事だった。
MOMO Proto tipoの
小径ステアリングを
握りセリカを
走らせながら
彼女との2年間を
振り返る。
県内でも有数の
進学校に通う
1つ下の17才
小さなライブハウスで
まだ売れて
なかった頃の
BOφWYのLIVEを
観に行った時に
知り合った。
付き合い始めは
けっこう悩んだ。
学校のレベルが
全然違った。
小さい頃から
可愛がってくれた
叔父の協力があって
2人きりで
海沿いの街へ
旅行
そして彼女と迎えた
初めての朝
バイトが終わって
ミスドで待ってると
彼女が家から
抜け出して
朝まで一緒に
寄り添ってた。
「出来る事なら・・・」
それにはまだ
未熟すぎた。
様々な彼女との
思い出が交差(クロス)する。
駅に着き
ポニーテールをした
彼女が駆け寄って来る。
「裕。セリカが来たんだね。」
「すぐ解ったよ。走ってくる音でね」
「うん。」
「ドライブいこ❗」
セリカは走り出す
何処までも
2人だけで
走っていたかった。
Do you remember.
あの時の2人
Do you remember.
あの時の輝き
いつまでも
忘れないで
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