あの日

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2003年12月某日   私は、あるひとりの人間の墓の前に居た。   周りは雪が積もっていて、他に人が居る気配はまるでない。   そんな中、私はただ墓石の前に立っているだけであった。   毎回こうである。 私は来たとしても、今は亡きこの人に、何と言ってやればいいかわからないからだ。 ただ、生活の中で起こった出来事を語りかけるだけでもいいはずなのに……。   そうして墓参りは終わる。  私が何も言わないのは、正直自分でもわかりかねない。 自分の無力さに嘆いていたのかもしれない。   “彼女”を助けられなかった私自身を………。
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