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季節は8月下旬。
例年通り暑い日だ。
私はいつものように店で他のGSRと並んで外を見ていた。
しばらくして店に一本の電話が入った。
「はい。🌕🌕です」
「どーも、🌕🌕ですが(笑)」
「あーまいど‼」
「GSRを一台送ってくれませんか?400ccの」
皆に緊張が走る。
その頃私達は、SUZUKIの最新車を謳っていた。
当然値段も高い。
相方として乗ってくれる人が少ないのだ。
「わかりました。一台でいいんですか?」
「ええ(笑)
あ…そうそう。女の子が乗るんですよ(笑)」
私はビックリした。
何故なら、私達は女性にはかなり乗りにくいバイクのはずだ。
車高も高いし、重量も重い。
気づけば、値段交渉に入っていた。
電話口の向こうから、時折女性の声が聞こえる。
この人が私達の誰かに乗る。
なんだか不思議な感じがした…
電話が終了したらしく、男性がこちらに歩いてくる。
「どれにしような…」
「……これにするか」
と、私のハンドルを掴んだ。
私?
「良かったな!」
「良い人なら良いな!」
「頑張って行ってこい!」
皆が次々に賛辞の言葉を投げかける。
確かに嬉しいのかもしれない。
だが…それよりも私は不安だった。
女性が乗る。
ただその事が…
私の不安など知る由もなく男性は私を梱包し、トラックに乗せた。
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