月影の都 戸惑いの誘惑

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大きく開けた空間に光り輝く 巨大な鍾乳石が天井から シャンデリアのように吊り下がっていた… 「ほりゃ~あそこが宮殿だべよ」 そう言うと出口の鈴を鳴らした しばらくすると橋の向こうから 桃色の衣を纏った女官達が 一頭の白虎を連れて現れた。 「長々とお待ちしておりました…太陽の民よ…月黄泉へようこそお越しくださいました」 女官達が拝礼すると 横に居た白虎がニヤリと 「すまんなぁ籠が壊れて落としてしまった」と咽を鳴らした。 すると後ろに居たモグラが 「おかげで仕事は遅れるわ…天井に頭ぶつけるわ…落ちてお尻に鍾乳石刺さるわ…ブツブツ」小さな声で呟いている 「全部お前が悪いんじゃないか」 白虎は悪びれもせずせせら笑った 鼻をヒクヒクさせながら モグラは「アンタがしっかりしてたらこんな事にはならんかったんでしょうが!」 不機嫌そうに頭をかいたら タンコブだったらしく 「痛いっ」とモグラがまた涙目になった… 頭に大きなタンコブがあるみたいだ 女官がモグラに言った 「親方殿宮殿で治療しましょうか?」 青ざめるモグラ 「滅相もない私は採掘があるんで帰るよぅ…(まだ死にたくないボソボソ)」 「えっ…死にたくない?」聞き返えして鼻先を覗くと モグラは慌てて「バッ…バ…バカ言っちゃいかんよ、知りたくないって言ったんだ…うんうんじゃぁさようなら」 そそくさと立ち去ろうとした 「えぇまた会いましょ」 軽く会釈をした びっくり顔のモグラは 「えー無理でしょう…ワハハハハ」 と言いながら去って行った。 「さぁ参りましょ…その前にお名前を伺わなくては」女官が問い掛ける 「僕は蓮庵〔レンアン〕と申します」と答えると 「では蓮庵殿参りましょうか…」 手を引かれ橋の向こうの宮殿へと導かれた
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