言乃刃

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  気づけば言の端とて 縄にも 刃にも 成るという 時には 水のごとくに 蜜のごとくに あまねくあまく満たすという そのような事はとうの昔に 人がとても脆いという事実と共に 暴かれているというのに なぜ、言葉しかない世界で なぜ、気がつけぬのだろう? 一滴の言の端が抉るのは 数万の人を殺す爆発にも似て 二度と再び君をこの世に 留め置いてはおかぬ かも、知れぬというのに? 満たされぬ虚しさは 抉る痛みでは 決して塞がらぬというのに それでも わたしも 知らぬ間にまた 誰かに 傷を生んでしまうのだろう。  
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