灯火

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したたるは 雫 静かなる水面に ひとつ落ちた 虚ろげに辿った 神々の軌跡に 狂い咲く月下美人 その狭間にひとつ 雫が 潤む瞳にうつる空 色の違う暁の空 この腕に 胸に 流れゆく命の川よ 数多の歌の水底に 湛えられた魂よ 森に響く音に導かれ 甘やかな香りに誘われて 私はもう 地の底へ還りゆく さあ 私の中に 鼓動する命よ ざわついた風に消えた 雑音に耳を澄ませ 心音に身を委ねよ 震えだす世界はもう お前の事を知っているのだから さあ 私を外に 追い出した世界よ 混沌の波に飽いた 退屈を悔いて 沈む日をとどめよ 目覚め出す命はもう お前を選んでしまったのだから 小刻みに揺れる 新たなる空の産声に 私はただ 涙した  
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