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冬の香り 木枯らしの色
美しい列をなす 雁の群れ
鈍色の空 雪の温度
冴えた空気の匂いを纏い
北風の馬に乗って
土に
木に
白網を張り巡らせて
冬の君は休息の季節を運ぶ
穏やかな眠りと
雪の精の舞を共につけながら
やがて四季の神々の
ため息混じりの会議の後で
春の纏うさえずりが目覚め
冬の君は退屈そうに瞼をこする
楽しげに笑う
雪の精の踊りの輪は
名残惜しげにそこらにとけて
ユキノシタとか
ふきのとうとか
タラの芽とか
柔らかな緑たちが顔をだした
流れ行く灰色の雲が
さらさらと雨の糸を爪弾き
氷の下のいのちの鼓動が
待ちくたびれた光を浴びる
雪と花とが手を取りあって
くるくると舞いながら
冬は眠り
春が笑い
そうしてまた 新しい季節が
巡り巡る四季の輪舞
歌い継がれる 冬の終わりよ
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