‡序章‡

2/3
前へ
/5ページ
次へ
暗く辺りは靄に包まれている。 地獄を連想させるような紅蓮の光が何処からともなく射し込んでいる。 『あぁ…。つまらぬ、つまらぬ。なんと退屈なのか…、人は平穏を取り戻し…毎日毎日同じ事の繰り返し。我々の栄えた時代の様な生と死の強い匂いは薄れてしまった…。―――物悲しいものだなぁ…。』 其処に鎮座している、一匹の白狐(しらぎつね)。 名は【堊叉戯】[アサギ]。 齢300年を越え、ある地では神として崇められている程の狐だ。 しかし、 その崇拝は願いを叶えて貰う為ではなく。 堊叉戯の怒りを買わない為のものであった――――。  
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加