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僕の家から少し歩くと綺麗な桜並木がある。
桜が咲くとよく行く。
いや、ほとんど毎日行っている気がする。
視界には、桜のピンクと空の青。だったのは数日前のこと。
今は桜のピンクと空の青、そして葉っぱの緑だ。
「桜、やっぱり散るんだな」
「桜の花の命は短いですね」
隣には数日前に見つけたガラス玉。そのガラス玉は幾分大きくなった。
今の僕はガラス玉に触れられる。触れれば触れるほど、ガラス玉は大きくなる。
「困ったな……」
「なにが?」
「え!あ、なんでもない。ただの、独り言だ」
「ふふ。独り言は年を取った証拠ですよ?」
「ひどいなあ。僕はまだ大学生なのに」
「勉強はしなくていいの?」
「桜がみたくて勉強している暇がなかったり」
僕らは笑い合う。
本当はガラス玉に触れたいから来ているんだなんて恥ずかしくて言えない。
今だって顔が少し熱くなっているのに。
ガラス玉はそんなことに気付かず、ここの桜は綺麗ね仕事を抜け出してしまうくらいだものと話を続けていた。
桜をみて笑っているガラス玉を見つめながら僕は気付く。
桜が散ったらガラス玉はここへは来なくなるのだろうか。
桜はなぜ散るんだ?
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