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すっかり桜が散ってしまった頃、久しぶりにガラス玉に会えた。
あれから毎日桜並木には行っていたが、なかなか会えなかったんだ。
「久しぶりね」
「久しぶり」
「桜、しばらく来ないうちに散ってしまったのね……」
ガラス玉は寂しそうに言った。
桜が散るのは早い。
毎日見ている僕でさえ、日に日にピンクが薄れていくのを感じたくらいだ。
ガラス玉はもっと早く感じただろうな。
「本当に早いな」
「もっと見ていたかったよ」
ガラス玉は僕に苦笑いは向けた。
そんな顔をされると戸惑ってしまう。
何か、ガラス玉が笑えるようなことはないのかと心が辺りを探す。
けれども、結局見つけられずに苦笑いを返すしかなかった。
しばらく沈黙があった。
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