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気まずい。
話さなくては。
桜が散った今、もうガラス玉はここには来ないだろう。
その前にせめてこの気持ちを伝えないと駄目だ。
気持ちはあせるばかりで、一向に口は動いてくれない。
言わなくてはと思えば思うほど、口は堅く閉ざされていく気がする。
ガラス玉は僕のことをただの花見友達か何かだとしか思っていない。
さっきまで思っていたこととは真逆の考えが頭をよぎる。
このままの方が幸せなんじゃないか、と思ってしまう。
そんな弱気なことを考えていた僕を現実に連れ戻してくれたのはガラス玉だった。
「私ね」
「……」
「あなたのこと、結構……好き、よ」
ガラス玉は聞き返す間もなく行ってしまった。
しばらく僕は動けなくて、ガラス玉の言葉が頭の中でリピートし続けた。
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