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「なら僕の意見や行動は……国の者としてのものになるの……ですか?」
「そうなりますね。だからこそマスターという力を手に入れてからが大変になるのですよ」
フロージア様はジッと僕を見つめて言った。
僕が不安になっているのが分かったからか、急にいつもの微笑みを僕に向けた。
「きっとフェイアなら大丈夫ですよ。あまり重く考えても仕方がないことですから。あっ、重くしたのは私かしらね」
フロージア様は優しく微笑んだ。
大丈夫と言われたことで少し安心したのか、僕もつられて笑ってしまった。
「さて、さっき貴方の右腕に痛みがあったと思います。そこにはマスターランクを示すタトゥーが描かれたの。これが貴方がマスターということを証明するものになります」
「わかりました」
「では最後の話に移りましょうか」
フロージア様が一枚の紙を取り出した。
「貴方はこれから旅にでて見聞を広め、様々なことを学んでほしいと思います」
「はいっ!」
「けれどちょっと問題があるのですよ……」
フロージア様が指を動かした。
さっき取り出した紙が僕のもとに飛んでくる。
「貴方の師のファリスト……ファーが行方不明なのです」
心臓がドクンと跳ねる。
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