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「ファーはどこにいるか分かりません。風の精霊でさえ見つけられないところにいるのです」
「じゃあどうやって見つけろと……」
最後まで聞きなさいとフロージア様が僕の言葉を遮る。
僕は口をつぐむと、フロージア様の話の続きを聞いた。
「連絡が途絶えたのが西の地の小さな街……オエステ。きっとそこにいけば何か分かるんじゃないかと私は思うのですよ」
「西の街オエステ……分かりました! そこに行けばファーがいるかもしれないんですね?」
「いなくても情報は得られるでしょうね」
「なら行きます!」
僕はその場に立ち上がった。
「ファーが見つかるなら……その手がかりがあるかもしれないなら……僕はそこに行きます! そしてファーを見つけてみせます!」
「貴方ならそう言ってくれると思いました」
フロージア様は優しく微笑んだ。
そして指を動かすと、本棚から小さな箱が飛んできてフロージア様の目の前に着地する。
フロージア様はそれを開けるとボロボロの一枚の紙を僕に差し出した。
「一応これを持っていって下さい。いつか役にたつでしょう」
僕は半信半疑ながら紙を受け取り、ローブの内ポケットにしまった。
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