第1章─旅立ちの報せ─

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「ファーはどこにいるか分かりません。風の精霊でさえ見つけられないところにいるのです」 「じゃあどうやって見つけろと……」 最後まで聞きなさいとフロージア様が僕の言葉を遮る。 僕は口をつぐむと、フロージア様の話の続きを聞いた。 「連絡が途絶えたのが西の地の小さな街……オエステ。きっとそこにいけば何か分かるんじゃないかと私は思うのですよ」 「西の街オエステ……分かりました! そこに行けばファーがいるかもしれないんですね?」 「いなくても情報は得られるでしょうね」 「なら行きます!」 僕はその場に立ち上がった。 「ファーが見つかるなら……その手がかりがあるかもしれないなら……僕はそこに行きます! そしてファーを見つけてみせます!」 「貴方ならそう言ってくれると思いました」 フロージア様は優しく微笑んだ。 そして指を動かすと、本棚から小さな箱が飛んできてフロージア様の目の前に着地する。 フロージア様はそれを開けるとボロボロの一枚の紙を僕に差し出した。 「一応これを持っていって下さい。いつか役にたつでしょう」 僕は半信半疑ながら紙を受け取り、ローブの内ポケットにしまった。
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