第2章─氷の結界─

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「僕も一緒に行きたい!」 話を聞いたウェインがすくっと立ち上がり言った。 その目はファーしか映してないようだ。 僕がいろいろ説明してもウェインは僕も行きたいんだの一点張り。 このファーへのいれこみようと言ったら……溜め息しか出てこなくなりそうだ。 とりあえず僕はウェインの肩を掴んで座らせた。 「僕が行くのは任務でなんだ。だからウェインは行けないんだよ」 「ならフロージア様を説得してくる!」 また立ち上がろうとするのを僕は必死に止める。 しかしウェインは僕の手を振り払い、部屋から飛び出してしまった。 残された僕は溜め息をつく。 きっとフロージア様は許可しないだろう。 ウェインがファーをどれだけ尊敬しているか、フロージア様は知っているはずだ。 行かせるつもりなら最初からウェインも呼んでいただろう。 けど呼ばなかった……だからウェインは一緒には行けないだろう。 ウェインが戻ってくるまで待とう。 そう思った僕は立ち上がり、荷物をまとめるため鞄をベッドの下から引っ張り出した。 一年半ぶりに見るこの鞄。 まさかこんなに早くこの鞄を見ることになるとは思わなかった。 あちこちに土や傷がついている。 いらない布で土を落とし、ベッドの上に乗せる。 僕は鞄を開けて、服や本など旅に必要なものを少しずつ詰めていった。
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