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しばらくしてからウェインが落胆して帰ってきた。
僕の顔をチラリと見るなり目を潤ませて、ベッドに倒れこんだ。
「なんで僕はダメなんだよぅ……」
ウェインが倒れた姿勢のまま、もごもごと呟いた。
僕はそっとウェインの肩に手を置く。
「僕だって…少しは力になるかもしれないのにぃ……」
「ウェインは力になると思う。だけど仕方ないんだよ。フロージア様が決めたことだから……」
「嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁ!」
ウェインが手足をバタバタさせながら言った。
こういうところを見ると、ウェインは僕より年下だって実感させられる。
「絶対僕がファーを見つけてみせるから。見つけたら真っ先にウェインに教えるから」
「絶対だよ……」
「勿論!」
「なら我慢するよ……」
ウェインが僕を横目で見ながら言った。
僕はポンポンとウェインの頭を叩く。
ウェインは鼻をすすりながら起き上がると、僕の隣に座りもたれかかってくる。
そんなウェインの頭をクシャクシャと撫でてから、僕は立ち上がった。
「じゃあ元気を出して! ジュリアンに会いに行くぞ! そんな顔してたらジュリアンにからかわれちゃうよ?」
僕は暗い顔したウェインを見下ろしながらニヤニヤと笑ってみせる。
ウェインはハッとすると袖で目元をこすり、いつもの小生意気な顔に戻した。
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