第2章─氷の結界─

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「ちょっとっ……待ちなさいよっ!」 僕は後ろを振り向く。 ジュリアンがこっちに向かって走ってきていた。 僕の数歩先で止まると、呼吸を整え僕を睨む。 「私を待たずに行くなんていい度胸ねぇ、フェイア」 「これでもだいぶ待ったんだけど?」 僕が言うとジュリアンはフンッと鼻であしらう。 「女の子が来るまで待つのは普通でしょぉ?」 「それは普通なのか?」 「普通なのよ!」 ジュリアンが大きく一歩を踏み出した。 僕との距離が縮み、ジュリアンの髪が僕の頬をくすぐる。 「ジュリア……」 僕の言葉はジュリアンによって遮られた。 一瞬何が起こったか分からなかったが、すぐに理解出来た。 ジュリアンは僕に抱きついたままキスをしている。 抱きつかれているから動けない。 僕はジュリアンが離れるまで何もすることが出来ないんだ。 ほんの数秒なのに数分にも感じる。 ジュリアンがようやく離れると、僕はうろたえて後ろに後ずさってしまった。 すぐ後ろが階段だということを忘れて。 それを思い出した今ではもう遅い。 僕は真っ逆さまに階段を落ちていった。
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