第2章─氷の結界─

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「うわぁぁぁぁぁ!」 僕は叫びながら必死に頭を腕で覆った。 階段は長く、落ちたらとても助かるような高さじゃない。 どこかをかばったって意味がないとは分かっていながらも、僕は目をつぶり衝撃に備えた。 けれどいつまで経ってもどこにもぶつからない。 それどころか落ちてるはずなのにその感覚すらない。 僕は恐る恐る目を開けてみた。 僕の体は階段の数メートル上で浮いている。 浮きながら移動しているのほうが正しいかな。 フロージア様が魔法で少しずつだが階段にそって僕の体を動かしているようだ。 無事地面の上まで来ると急に浮いた感覚がなくなり、下に落ちる。 僕は見事に尻から地面にぶつかった。 痛みに悶えていると上からジュリアンの声が聞こえた。 僕は視線を上に向ける。 「ちゃんと……ちゃんと生きて帰ってこないと……呪ってやるんだから!」 ジュリアンは涙声で思いっきり叫ぶと学校のほうへ走り出した。 隣でウェインがオロオロしながら僕とジュリアンと交互に見ている。 それからジュリアンを追ってウェインも学校のほうへと姿を消した。 「くれぐれも……気をつけてくださいね」 フロージア様の声が静かに響く。 僕は立ち上がり頭を下げると、門がどんどん閉まっていく。 完全に閉まったことを確認してから、僕は学校に背を向け歩きだした。
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