2430人が本棚に入れています
本棚に追加
さて、学校を出たはいいがどこへ行こうか。
僕は後ろを振り返る。
建物の影に隠れているが学校が見えた。
戻ったって意味はないし。
進むしかないか。
僕は前に向き直り、歩き出した。
少し歩くと広場に出た。
広場では散歩をしている人や、店の開店準備をしている人などがところどころにいる。
僕は真ん中にある噴水の縁に腰掛け、鞄からパンを取り出して食べた。
噴水の水の音だけが響いている。
他の音は噴水の音にかき消されて聞こえない。
噴水が決まったリズムで水を空へと吹き出す。
時々顔にかかる水しぶきが冷たくて心地よい。
僕はパンを頬張りながら人々の動きを見つめた。
人々以外にも魔法生物達も起き出し始め、空を優雅に滑空している。
少しずつ街が目を覚まし始めた。
人が窓から顔を出し、魔法生物から新聞を受け取る。
家の前を掃除する人もいる。
これからどんどん街が賑やかになるだろう。
人で溢れかえる前に広場から出なくては。
人波に飲み込まれたら、出口に行くのに無駄に時間がかかってしまう。
僕はパンを飲み込み、立ち上がってローブについた埃を払う。
それから街の出口に向かって歩を進めた。
最初のコメントを投稿しよう!