第2章─氷の結界─

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さて、学校を出たはいいがどこへ行こうか。 僕は後ろを振り返る。 建物の影に隠れているが学校が見えた。 戻ったって意味はないし。 進むしかないか。 僕は前に向き直り、歩き出した。 少し歩くと広場に出た。 広場では散歩をしている人や、店の開店準備をしている人などがところどころにいる。 僕は真ん中にある噴水の縁に腰掛け、鞄からパンを取り出して食べた。 噴水の水の音だけが響いている。 他の音は噴水の音にかき消されて聞こえない。 噴水が決まったリズムで水を空へと吹き出す。 時々顔にかかる水しぶきが冷たくて心地よい。 僕はパンを頬張りながら人々の動きを見つめた。 人々以外にも魔法生物達も起き出し始め、空を優雅に滑空している。 少しずつ街が目を覚まし始めた。 人が窓から顔を出し、魔法生物から新聞を受け取る。 家の前を掃除する人もいる。 これからどんどん街が賑やかになるだろう。 人で溢れかえる前に広場から出なくては。 人波に飲み込まれたら、出口に行くのに無駄に時間がかかってしまう。 僕はパンを飲み込み、立ち上がってローブについた埃を払う。 それから街の出口に向かって歩を進めた。
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