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トップには、艦長の他にもいつの間にか手空きの将校達が上がって来ていた。
「撃ち方待て!」
たった三秒ほどの全力射撃で、木材は跡形も無くなっていた。
「見事だよ!我が艦砲は。なあ砲術長!」
艦長に褒められ俺は気分が良かった。
「ついでに対空射撃もしてみんか?」
にこやかな顔つきで艦長が言って来た。
「了解しました!対空戦用意、左九十度、遅延信管三千に設定。」
さあ、大変である。
今、各砲塔内では半自動装填装置に収められている、二十発の即応砲弾の着発信管を遅延信管に、交換している真最中なのだ。
これが、二式六十五口径十糎高角砲の唯一の欠点と言えるものだった。
「一番砲塔準備よし!」
予想外に早く用意が出来たようである。
これは一番砲員の練度の高さの表れであった。
「二番砲塔準備よし!」
「良し、砲撃はじめ!」
「急げ!」
「てェーッ!」
ドンドンドン―
パッパッパッ―
距離三千m、高度二千m辺りにキレイな弾幕が花開いた。
「砲術長、来週の演習はこの調子で頼んだぞ。」
そうなのだ、連合艦隊司令長官の山本大将にこの新型砲と二式電探射撃管制盤の威力を披露しなければならないのだ。
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