1100人が本棚に入れています
本棚に追加
「我が艦の真下!…、今、後方に抜けました!距離五十m、百m、百五十m!」
「てェーッ!」
ドッドッドッ!
艦後方にある爆雷発射機から小型爆雷が敵潜に向けて、再度発射された。
ヒューン、パシャパシャパシャッ!
すると間もなく腹に響く連続した振動が有り、海面が白く盛り上がると同時に無数の爆発音が聞こえて来た!
「やったゾーッ!バンザーイ!」
艦内のあちこちから歓声が揚がった。
二式爆雷は一発でも敵潜に命中すると、他の爆雷も全て一斉に爆発するのである。
「敵潜の様子はどうか?」
「はッ!海中の雑音がひどく聴き取れません。」
爆雷が爆発するとその辺りの海域は掻き乱され、水中聴音機は使い物にならなくなるのだ。
しばらくして、大友一曹の耳に金属のきしむ独特の音が聞こえて来た。
「敵潜の圧壊音を確認!」
「確実に撃沈したか確認する、探信儀を打て。」
佐竹水雷長が命じた。
水中から返って来た探信音は、沈み往く潜水艦の様子を我々に伝え深度が三百mを超えたところで
「間違いないな、戦闘終了!用具納め!」
戸高艦長は号令を発し、大谷航海長に戦闘詳報の記入を命じた。
「ガトー級、一隻を撃沈すとな。」
最初のコメントを投稿しよう!