第2章 ―海上護衛総隊―

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その後、艦内哨戒第三配備となり俺が一直目の当直将校をして艦橋にいると、機関長の小倉大尉が珍しく上がって来た。 「やぁ、先任。さっきはお手柄だったねぇ。」 「いえいえ、あれは佐竹大尉の手柄なんですよ。」 小倉大尉は俺より年上で、兵学校も一期上であったが何故か俺の方が先に大尉に昇進しており、この艦の先任となっていたのだ。 「そうだったのか。それにしても我が艦の艦砲はすごい発射速度だな、俺もいろんな駆逐艦に乗ってきたがあんな機関砲みたいなのは初めて聴いたよ。」 俺はまるで自分が褒められた様な気持になり、満更悪い気はしなかった。 小倉大尉は機関長だった為、戦闘配置は艦の底であり艦砲の射撃は見るのではなく、聴くなのだ。 「そういえば、機関の方も新型のディーゼルでしたよね。前の駆逐艦よりも反応が速い気がするのですが。」 「あぁ、あれは例の研究所の設計らしくてな、今までのディーゼルの問題点を全て解決した傑作機関だよ、あれは…。ま、その分整備の手間も掛かるがな。」 「そうなんですか!大きい声じゃあ言えないんですが、実は二式長十糎高角砲や二式電探射撃管制盤、捜索電探もその研究所が開発したと言う噂なんですよ。」
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