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「ごめんなさい、ごめんなさい!明後日の課題提出日まで待って下さいっ!!」
「そんなに待てるかっ!!今すぐ元の世界に帰せ!!」
脳天(のうてん)へのグリグリ攻撃を更(さら)に強めるとハリヤは痛い痛いと悲鳴を上げた。
う~ん、苛(いじ)め甲斐(がい)があるぞコイツ…。
「イタタ…ちょ…本当にごめんなさい…痛いから止めて下さい~。」
痛さのあまり涙声になったハリヤの声を聞いて俺はようやく攻撃を止める事にした。
もう少しで危ない世界に突入するトコだった…。
「……………早く元の世界に帰せ。でないともっと攻撃すんぞ。」
握り拳を目の前に突き付け脅迫(きょうはく)をするとヒッと情けない悲鳴を上げ飛び上がった。
「むむ……無理…ですよ………。」
ぶんぶんと勢い良く首を振るハリヤに俺は笑顔を浮かべてもう一度拳(こぶし)を脳天(のうてん)に突き付けた。
「もっとグリグリされたいのか?」
「ヒィィッ!むむ、無理っ無理ですっ!!だって“返還術”(へんかんじゅつ)はまだ習っていないんですからっ!!!」
はい?今コイツなんて言ったよ。
習ってないってどーゆー事?!
「ふ・ざ・け・て・いるのか?」
目の笑っていない俺の笑顔がよほど恐怖に感じたのか、ハリヤは体全体を使って全力で否定した。
「ふざけていないですっ!本当に習っていないんですっ!!」
それを聞いて俺は力が抜けた様にハリヤへの攻撃を止めた。
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