屍宅配便

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昼に確認した時には何も無かったのに。 茫然と立ち尽くす俺の後ろから彼女が覗き込む。 「もう嫌っ!私、実家に帰るからっ!!」 ヒステリックな彼女の声、説明が付けられない俺。 どうしていいか判らない。 交番には彼女が相談に行ったけど「何かあったら来て下さい」と言われたらしい。 確かに何かあった。 見えないのに現れる死骸宅配便。 これはオカルトとかの類いで警察は管轄外だろう。 俺の見落とし説が1番有力だよな。 「明日は日曜日だし、今度はちゃんと見張るから」 彼女を抱きしめ宥めすかして、その場は収めた。 彼女は近くに実家があるけれど、仕事上アパートから離れられない俺が1番気持ち悪い。 翌朝は張り切って起き、オペラグラスまで用意した。 トイレに行く間は彼女に見張りを代わって貰ったり、刑事ドラマの主役になったつもりで張り込む。 夕方に確認するとゴキブリの屍がぽつんと置かれていた。 いくら物体が小さくても運ぶ人物は目に入るはずなのに。 アパートの住人も俺の部屋を不自然に横切ったりはしてない。 どういう事なんだ。
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