52人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
屍宅配便
ほぼ毎日。
玄関の前に生き物の死骸が、置かれるようになった。
イモリ、鼠、名前の判らない虫。
薄気味悪い。
同棲中の彼女は見付ける度に泣きそう。
それはそうだ。
俺だって気持ち悪いと思うのに、彼女はさらに虫嫌いときている。
さすがに1週間を越えた頃、耐え兼ねて見張る事にした。
やっと仕事が休みだからというのが正解だけど。
ぐるりとコンクリートブロックで囲まれたアパート。
正門と駐車場に向かう出入口の2箇所をしっかり監視する。
時間帯はまちまちで見当が付かないのが辛い。
窓際に座椅子を移動して寛ぎながら眺めていた。
夕日が空を茜に染めるまで見張っても不審人物は来なかった。
俺が窓際に居るから来れなかったんだろう。
しかし。
毎日は見張れない。
相手が判らないと明日から、また屍宅配が来てしまう。
彼女が精神的に参ってしまうからどうにかしないと。
仕事終わりは彼女が早いので、帰宅した彼女が死骸を発見するパターンが大半なのだ。
一応、確認の為に玄関を見てみる。
ズタズタに痛め付けられた鼠の死骸。
無造作に置かれていた。
最初のコメントを投稿しよう!