屍宅配便

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屍宅配便

ほぼ毎日。 玄関の前に生き物の死骸が、置かれるようになった。 イモリ、鼠、名前の判らない虫。 薄気味悪い。 同棲中の彼女は見付ける度に泣きそう。 それはそうだ。 俺だって気持ち悪いと思うのに、彼女はさらに虫嫌いときている。 さすがに1週間を越えた頃、耐え兼ねて見張る事にした。 やっと仕事が休みだからというのが正解だけど。 ぐるりとコンクリートブロックで囲まれたアパート。 正門と駐車場に向かう出入口の2箇所をしっかり監視する。 時間帯はまちまちで見当が付かないのが辛い。 窓際に座椅子を移動して寛ぎながら眺めていた。 夕日が空を茜に染めるまで見張っても不審人物は来なかった。 俺が窓際に居るから来れなかったんだろう。 しかし。 毎日は見張れない。 相手が判らないと明日から、また屍宅配が来てしまう。 彼女が精神的に参ってしまうからどうにかしないと。 仕事終わりは彼女が早いので、帰宅した彼女が死骸を発見するパターンが大半なのだ。 一応、確認の為に玄関を見てみる。 ズタズタに痛め付けられた鼠の死骸。 無造作に置かれていた。
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