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青年はローギアにした、ガツンっという鈍い音とともに車体がぶれた。
回転数を少し上げて、ゆっくりクラッチを繋いでみる。
ドドドっという音とともに、ゴールドスターは動きだした。
「ようし、ゴーディ、ちっとその辺、一周してきな、こかすんじゃね~ぞ!」
初速からの出足が強い、ツエンダップにはない加速だ。
ツエンダップは回転数だけが上がり勢いよく加速するのだが、このゴールドスターは違った。
「なんだ?この地から吹き出るような加速は?なんて乗りやすいんだろう…」
海岸線沿いに出て、最高速度をトライしてみる!
一端、停止し、ギアを初速へ、少し回転数を上げて、クラッチを繋ぐ、重低音とともに、引っ張ったゴムが切れるような加速をする。
青年は前傾姿勢でバイクに覆い被さると、デッドゾーンまで針を回した。
4500回転ぐらいからの加速が半端ない、同じバイクとは思えないくらいだ。
音が二段階に変化するのを青年は聞き取ることが出来た。
サードにギアを繋ぐ。
風が半端ない、視界が一点しか見えない。
迫りくる風に耐えながらトップへ、さらなる加速を続ける、針がグングン回っていく。
音がやかましい、海岸線が映画のフィルムみたいに流れて行く。
良い加速だ。青年は更に前傾姿勢をとる。海岸線道路の終わりの分岐点で青年はスロットルを戻した。
シフトダウンし徐々止めた。
バイクを降りると、少年はガタガタ震えた。
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