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「悪いな。」
「…っ」
身長の差が効いたのか、届かない。ぴょんぴょん跳ねて奪い返そうとするがそれでも届かない。
それを面白そうに見る男。腹がたつ。
「…返してよ。」
「わかったわかった。
ほら」
意外と普通に返された。
「………」
なんだかすっと熱が冷めてしまった。
こういうのを拍子抜けというのだろうか。
とりあえずこの鬼畜腐れ男の前から立ち去りたいので屋上から出る事にした。人が気持ちよく音楽聞いてたってのになんて奴だ。滅んじまえ。
「なぁ、神山。」
「…」
今すっごく馴れ馴れしく私の名前を呼ぶなと思った。名前も知らないどこぞのチャラ男に呼ばれると嫌になる。私こんなに怒りっぽかったっけ…。
「……」
「…お前は神を信じるか?」
「……」
「………」
「……」
「…」
会話が止まった。
息が詰まる。何だこの空気は。てかこの男いきなり何、電波?
「……」
「……」
「…信、じて、ない事はなくは無いけど」
「…」
「別に…、そういう事、わかんないし。」
深く、考えた事無い。
暫くの沈黙の後。笑いを堪える音がした。
……笑い、…笑……?
「は…はははっ、本気で考える奴初めてみた…!」
「な…」
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