754人が本棚に入れています
本棚に追加
「は?嫌な奴にあった?」
「…………」
教室に戻ったはいいが、どうやら間に合わなかったようだ。
クラスの皆の視線に耐え、担任に言い訳をする。
「…神山、あのな…」
「…ごめんなさい。
以後気をつけます」
とりあえず謝った。
遅れた自分が悪いのだ。
言い訳は見苦しいという事は知っているから。
「…ま、わかったよ。
ほら席に着け」
「え、」
「今時廊下に立たせるとでも思ったか?
とりあえず後で職員室な」
「……」
そっちの方がやだよ。
口にはしないが、今時遅刻ぐらいで職員室というのも無いだろ。
とにかくこれ以上視線を浴びているのも嫌だ。
そそくさと席に着く事にした。
「じゃ、授業再開するぞー」
「せんせー、教科書忘れましたぁ!」
「ちょ、おま…
何回忘れてんだよ!
俺の授業そんなに嫌いなのかよ!
1にするからな!」
「嫌ー!!先生愛してるからそれはやめてー!」
どっと沸いたクラス。
私はそれを横目で見て窓の向こうを見た。
勉強は嫌いだが、早く授業をしてほしいと願った。ここに居るのは辛いのだ。
はぁ、と溜息をつき、こっそりと音楽の電源を入れた。
ほんの少しだけ一人の空間に入れた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!