神の子

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「イタリアからの要請はどうしますか?」 眼鏡をかけたチーム唯一の女性が一番年輩の男に問いかける。 「こんなチャンス二度と巡ってきませんよ!!」 若い男性研究員が興奮気味に身を乗り出す。 「しかし…今回のいきなりのイタリアの要請には何か引っかかりますよ」 別の研究員がたしなめるように… 皆一様に一番年輩の研究者に意見を促す。 ここは大学の研究チームが例の石棺を調査するための特別な施設だった。 研究者六人は休憩室で今後について話し合っていた。 「皆の気持ちは分かる。わかるからこそ私だけで決断することはできない」 「ではどうするのです」 曖昧な意見を聞かされほかのものたちは苛立つ。 「意見を聞きたい。君たちはどうしたい。 私としては…ここであきらめれば…二度とこのようなチャンスは巡ってはこない… 皆はどうする?挙手してくれ」 「ここで研究をやめるか」 その問いに手を挙げる者はいなかった。 「決まりだな」 皆静かに頷いた。
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