5036人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
見下ろすように深い夜を纏いながら現れた五人の男達を杏奈はじっと見つめる。
銀髪の、夢に現れた男を中央に金の髪の男と女、茶色い髪の長身の女と小柄な少女……
懐かしむような視線を向けるその人物達に視線を移しながら杏奈は口を開く。
「……カイン…」
―――ほぅ…思い出したか…
男が満足げな声で微笑むと隣から揶揄する声が聞こえる。
―――あら残念
忘れていてくれてよかったのに…
―――クローディア!!
クスクスと笑う女を制したのは別の女だった。
それをただ黙って見つめているとカインはいつの間にか杏奈の傍らにいた。
「っ……!」
―――だが…ずいぶん人間じみた表情をしているじゃないか…
頬に氷のように冷たい指が触れる。
「私は人間よっ!!今までもこれからも!!」
杏奈はカインの腕を払いのけ叫ぶ。
カインへの怒りで全身が震える。
―――そう…人間だ
だが…ただの人間ではないはずだ…
吸い込まれそうなほど深い灰色の瞳を細め見つめてくる。
最初のコメントを投稿しよう!