開戦の狼煙は業火の如く

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子供達の中にルーが。ガルディアス兵の中には一兵卒がいる。 悠斗はその集団に向けて足に込めた魔力を爆発させた。 「あ……あぅ…」 「なんだ、ガキか…」 一兵卒がつまらなそうに見下ろすと、その視線がルーで止まった。 粗末な花を一輪、震える手でガルディアス軍の方に差し出している。 まるで花をやるから見逃してくれと言わんばかりに。 「ふん…」 差し出された花を踏みにじる。こんな物、差し出された方がかえって殺したくなる。 「た…助け………」 「殺せ」 その刃は無情に、無慈悲に振り下ろされた。 「こんなガキに用はない! オリジンだ! オリジンを………ッ!!?」 背後に人の気配を感じて振り返る。 燃え盛る炎の中、涙を流しながら立つその男の蒼き瞳は赤く染まった少女を見下ろしていた。 「ルー。起きろよ。お兄ちゃんと約束しただろ?」 悠斗は膝を折り、ルーの額に手を当てる。 「楽しみにしてるんだぞ? たくさんお金を払ったからな。きっと目の前が花で一杯になるんだ、そうだろ?」 その時、ルーの目が少しだけ開いた。 震える手でカゴの中から青い小さな花を取り出し、悠斗の前に出す。 そして音のない声で何かを言う。唇の動きから察する……。 『ごめんね…』 「ぅああああああぁあああああああああぁぁぁああぁあああああああああああああああぁああああああああぁあああああああああああああああああああああああッ!!!!」
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