エル・リオール

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うっそうと生い茂る、わずかな光しか通さない密林の木々の中に、一ヶ所だけ程よい日光が降り注ぐ木漏れ日の下に、二人の人間が倒れていた。 1人は17才くらいの少年で、なかなか整った顔立ちをしているが、カッコいいと言うよりも可愛いと言う方が適切だろう。左耳の髪だけが不自然に黒く長い。 服装は淡い青を基調とした学校指定のジャージで、首には白と黒の翼が中心のガーネットに絡みつくデザインのペンダントが掛けられている。 もう1人は少年と同い年らしく、しかし少し幼い感じの少女で、左耳の辺りで三つ編みにされた、腰まで届く長く青い髪が特徴的だ。 こちらは変わった服装で、純白の着物に緋色の袴…いわゆる巫女装束だ。 そんな少年と少女の服装は、どちらも『こちら側の世界』には無い雰囲気の物だった。 そして小鳥達のさえずりに起こされ、少年がその重いまぶたを持ち上げた。image=111272871.jpg
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