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静かな…はずの密林の中に、足音、叫び声、咆哮、羽音などが響き渡る。
「うわあっ!!!?」
「きゃあっ!!!!」
深紅のドラゴンが吐いた炎を、悠斗が横っ飛びし、なんとか避ける。
かれこれ20分は繰り返した動作だ。
しかし、これ以上は体力的にも精神的にも無理だろう。
にも関わらず、無情にも神は更なる試練を悠斗に課した。
「が…崖!!?」
「そんな…」
落ちる崖ではない。登る崖だ。
弱者を見下すように高々とそびえ立つ崖。
『ギャアアアアアアァァァ!!』
後ろからドラゴンが追い付いて来た。
絶体絶命。
だからこそ人は…
吹っ切れる。
「琴音は下がって隠れるんだ…お前は必ず護ってみせる!!!!」
琴音が驚き、目を見開く。
悠斗が…ドラゴンに対して拳を握り、構えた。
「む…無理だよ…死んじゃう………」
悠斗の服を掴み、フルフルと首を振る琴音。
しかし悠斗はその手を引き剥がし、ドラゴンに向かって駆け出した。
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