いつも通りの1日

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都会とも田舎とも言えない街のとある一軒家の一室にけたたましい目覚まし時計の音が響き渡る。 「んあ~~~」 目覚まし時計の横のベッドで布団がモゾモゾ動いたかと思うと、ニュッと出てきた手が時計を叩く。 すると明らかに何かが割れる音が響き、時計の音が不自然に止まった。 「………………………………やべっ」 ちょっと強く叩き過ぎたらしい。 騒ぐ事が仕事の目覚まし時計が騒がないだなんて……しゃべらない落語家くらい価値がない。 もっとも、そうなった原因は言うまでも無いが…。 「はぁ…」 ため息を吐き、起き上がる。 目覚まし時計の犠牲を無駄にする訳にはいかない。 …これ以上ない程見事な無駄死にだった気もするが………。 ベッドから降りた少年は、着替えながらチラリと哀れな戦死者を見た。 衝撃でカバーケースが砕け、電池が飛び出し、針が完全に折れている。 なぜ見た目も中身も実年齢も17才の少年の一撃がこれ程の威力を誇るのか。 それは少年が、柔道、剣道、合気道、拳法などの武術大会で、日本一の称号を得た天才格闘少年だからだ。 全くとんだ浮気者である。 ちなみに今日は実戦空手の大会で、既に準決勝だったりする。
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