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―「死」合開始から三分
未だお互いに余裕が残っており、無論誰一人倒れては居なかった。
「オラァっ!!」
味方の一人がボールを投げる。
狙われた相手は、ギリギリのところで躱し、後ろに居たガオルの味方に直撃した。
相手はボールを取るだろうと油断させる、心理作戦だった。
当たった味方は平気そうだが、このボールは何しろ硬い。
故に、一回当たるだけでもかなり痛い。
ガオルも既に二、三回当たって居たが、何とか持ち堪えて居た。
ふと、ガオルの所にボールが飛んで来る。
ガオルはそれをキャッチし、投げようとするが、その瞬間に相手が当て難い位置に居る事に気付く。
「くそ、どーすりゃ…、!」
何を思ったか、ガオルはボールを檻に投げ付けた。
ボールは檻に当たって跳ね返り、相手にヒットする。
檻に当てる事で、跳ね返る時に檻がボールを押し返す力が働き、速度は余り落ちない。そして、反射角を調節すれば、巧く相手に当てられる。
「…くそ、考えやがったな、新入りの奴…」
しかし、この一撃で、ボールはどちらも相手に行ってしまった。
ドッジボールとは違い、外野が無いと言う事は、容易に挟み撃ちがしやすい、と言う事だった。
「くたばれ、新入りィィィィッ!!!!」
ボールは真っ直ぐ、ガオルに向かって飛んで行く。
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