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「小隊長、お久しぶりです」
お墓に近づいていく俺と、あとに続くチヒロ。
墓石は氷のように冷たく、磨かれたようにキレイ、頻繁に掃除されている証拠だ。
自らの手で小隊長を殺めてから二度目のお墓参りは余り気分の良いものではなかった。
チヒロの持った袋から蝋燭と線香を出して火を点ける、蝋燭に揺らめく火を見ながら蝋燭立てに立てた。
線香も同じようにして立てて、ワンカップの日本酒を手頃なスペースに置く。
「門出の祝杯です」
墓標に向かって話し掛ける返事のない会話。
チヒロが黙ったまま見届けてくれるのはありがたかった。
そして、今から語るのは最初で最後になるであろう告白…。
死ぬほど恥ずかしい独りよがりのプロポーズ…。
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