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墓石に手を着く。
「隊長…、教えてください…」
視界が滲み、目に溢れる涙が声を震わせた。
複雑な想いが行き先を失い、心を壊すように内側から叩かれた気がした。
一筋の涙が墓石にシミを作って消える。
力が抜け膝を着いてしまう。
すると突然、背後から何か布の様な物に包まれる感覚に襲われた。
心地よい温もりが俺を包んで放さない。
いや、おれ自身がその温もりから抜けれないでいると言った方が正確かも知れない。
千尋の細い腕が視界に入り俺の前でクロスする。
弱さを隠しきれない自分と、それを包んでくれる千尋の細い腕、そして...彼女を支えてきた自分。
目の前の現実があまりに重くのしかかった。
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