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温もりの中から冷たい墓石に手を伸ばす。
ふれる瞬間、指の先に冷たい感覚が伝わってくる。
過去の走馬灯。
今の現実。
罪の意識と背負ったモノが重くのしかかり、俺を苦しめる。
ピリッとした冷たさと優しい温もりが少しばかり苦しみを和らげてくれた。
すると、声が聞こえた気がした。
――安心しろ、お前は強い――
都合の良い勝手な幻聴も良いところだ。
でも、聞こえた気がしたし、そういって欲しいと思っている自分が居る。
―言ったろ。お前は死なない、俺が守ってやる―
ハッとなり墓標に視線を上げるとそこには『正義』の文字、隊長の笑った顔が見えた気がして目を見開いた。
―胸を張って行ってこい、そして帰ってこい―
背中を押された気がした。
自分一人の決意。
――必ず帰ってこよう――
正直、迷いが無くなったと言えば嘘になる。
けど、決意と覚悟は出来た。
迷いと決意と覚悟が入り交じった言葉を口にした…。
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