第二章【いってきます】

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「こんなの受け取れないわ……」 差し出された封筒をそのまま押し返す小夜さんの手。 封筒の口からチラリと、中に入った分厚い札束がチヒロにも見えた。 「いえ、受け取って下さい」 いつになく真剣なカズはジッと小夜の目を見つめて、押し返された封筒を更に押し返した。 「これは……僕のしてしまった事の償いです」 「アナタは良くしてくれたは。和夜の為に何度も遊びに来てくれたし、私もアナタが来てくれ嬉しかった。これを受け取ったら和喜に怒られてしまうわ」 小夜は優しく微笑んだ。 複雑に入り混じった感情に俯くカズはヒタヒタと小さく震えていた。 道を見失った贖罪の思いはカズを内側から壊そうとする。 「僕は…、小夜さんや和夜にどう詫びたら良いのか…」 心配そうな瞳でカズを見つめるチヒロはあえて何も言わず、手を握っているだけだった。 これは、カズ自身が気付いて答えを出さなければ救われない事だから…。 .
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