第四章【ライフルと絵筆】

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「チヒロは分かりやすい娘だね」 カズの名前を聞いてショボンとしたチヒロを見て優しく笑いかけた。 「智美はよく見てるね」 智美はチヒロの頭を撫でてあげると、話を続けた。 「よしよし、寂しいね。あのバカはいつ帰ってくるの?」 チヒロは目に一杯涙を溜めて智美に泣きついていた。 そんなチヒロを優しく受け入れる智美。 彼女はチヒロの通う大学で出会った友達で、今になってはチヒロにとって一番の友達だ。 「5ヶ月で一時帰国だって言ってた。でも、ハッキリとは何とも言えないって…」 智美の腰に回されたチヒロの細い腕に力が入った。 それに気づいた智美は小さなチヒロの背中に手をやる。
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