第四章【ライフルと絵筆】

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「よしよし、泣かないの。遠くに居たって戦場に居たって、あのバカは生きてるんだから」 トントンと小さな背中を叩く智美の手が心地よくて暖かい。 チヒロは智美から離れると、ゴシゴシと涙を拭いて小さく頷いた。 「そうだよね、カズくんが死んじゃった訳じゃないもんね」 いつもはもっとシッカリしているチヒロの子供のような素直さに智美の顔に笑みがこぼれた。 「さ、課題書き上げちゃお!」 と、元気よく言葉を交わすと二人とも書きかけパネルに向かって再び絵筆を走らせた。
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