第四章【ライフルと絵筆】

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課題をなかば終わらせた二人は大学を出て帰路についた。 「ただいまー」 チヒロが家に着いて玄関から帰宅を伝えると、母親が小走りで寄ってきて迎えてくれた。 「お帰りなさい、自衛隊から手紙が来てたわよ。はい」 そう言って小さな封筒を渡された。 封筒には『国防省通信二課』と書いてあった。 その上から検査済みと赤色で判が押されていた。 意味が分からず首を傾げるチヒロにチヒロの母親はニコッとして封筒の裏を見せた。 「カズ君からじゃない?」 そこには三沢 和と書かれていた。 少し考えてからチヒロは花が咲いたように笑顔になった。 「お母さんありがとう!」 と、言って靴を脱ぎ払って階段を駆け上がって行く。 「あらあら、お母さんは受け取っただけよ?」 そう言ってチヒロの母親はリビングへ入っていった、心配したような表情で…。
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